「――京香ちゃん?」
俺の声に我に返った京香は、またメニュー表に目を落として、あれこれと悩んでいた。
「何か考えごと?」と聞こうとしたが、タイミング悪くビールを持ってきた店員が個室の扉を開けたことで聞きそびれてしまう。
ビールを受け取る京香の表情は、今までと変わらない。
そのことに少しホッとしたけれど……。
――京香に何があったんだろう。
その思いが頭を駆け巡る。
真面目な京香のことだ。大学を出ていないなんてことは考えられない。
ましてや就職先だって、非雇用を点々としていたってことも考えにくい。
やむを得ず派遣でこの会社に来たに違いない。
卒業してから、今までどんな人生を京香は歩んできた?
……知りたい。
目の前にビールのはいったジョッキが置かれ、料理の注文を繰り返した後、店員は個室から出ていく。
ふたりきりに戻ったところで、俺は気を取り直して、ジョッキを手に持った。
「じゃ、改めて。久しぶりの再会に乾杯」
そう言いながらジョッキを重ね、そしてそのまま口元へ運び一気に飲んだ。
アルコールが勢いよく喉元を過ぎ、胃へと落ちていくのが分かる。
冷たいと感じると共に、アルコール特有の熱さが身体中を支配していく。
……気持ちがいい。
このために俺は毎日仕事をしていると言っても過言じゃない。
京香もまた同じ思いのようで、グッと飲んではとてもすがすがしい表情を浮かべていた。
「やっぱりビールは最高だね!これがあるから頑張れるってもんだ」
「やだ、先輩ったらオジサン臭い」
「もう27歳だしねぇ。若くはないよ」
しかし、高校の頃はこうやってふたりで何か飲みながら話すこともなかったのに、時を経て向かい合ってアルコールを飲んでいるんだから、縁と言うのは不思議なもんだ。
きっとこのタイミングで京香と再会したのも、何か縁があるからなんだろう。
……なんてしみじみと考えていると、京香が唐突に口を開いた。
「あの、先輩」
「ん?」
「先輩は彼女とかいないんですか?もしいたとしたら、私とふたりで飲みなんて、なんか彼女さんに申し訳なく思ってしまって」
俺の声に我に返った京香は、またメニュー表に目を落として、あれこれと悩んでいた。
「何か考えごと?」と聞こうとしたが、タイミング悪くビールを持ってきた店員が個室の扉を開けたことで聞きそびれてしまう。
ビールを受け取る京香の表情は、今までと変わらない。
そのことに少しホッとしたけれど……。
――京香に何があったんだろう。
その思いが頭を駆け巡る。
真面目な京香のことだ。大学を出ていないなんてことは考えられない。
ましてや就職先だって、非雇用を点々としていたってことも考えにくい。
やむを得ず派遣でこの会社に来たに違いない。
卒業してから、今までどんな人生を京香は歩んできた?
……知りたい。
目の前にビールのはいったジョッキが置かれ、料理の注文を繰り返した後、店員は個室から出ていく。
ふたりきりに戻ったところで、俺は気を取り直して、ジョッキを手に持った。
「じゃ、改めて。久しぶりの再会に乾杯」
そう言いながらジョッキを重ね、そしてそのまま口元へ運び一気に飲んだ。
アルコールが勢いよく喉元を過ぎ、胃へと落ちていくのが分かる。
冷たいと感じると共に、アルコール特有の熱さが身体中を支配していく。
……気持ちがいい。
このために俺は毎日仕事をしていると言っても過言じゃない。
京香もまた同じ思いのようで、グッと飲んではとてもすがすがしい表情を浮かべていた。
「やっぱりビールは最高だね!これがあるから頑張れるってもんだ」
「やだ、先輩ったらオジサン臭い」
「もう27歳だしねぇ。若くはないよ」
しかし、高校の頃はこうやってふたりで何か飲みながら話すこともなかったのに、時を経て向かい合ってアルコールを飲んでいるんだから、縁と言うのは不思議なもんだ。
きっとこのタイミングで京香と再会したのも、何か縁があるからなんだろう。
……なんてしみじみと考えていると、京香が唐突に口を開いた。
「あの、先輩」
「ん?」
「先輩は彼女とかいないんですか?もしいたとしたら、私とふたりで飲みなんて、なんか彼女さんに申し訳なく思ってしまって」

