……それから。

一年契約の仕事が契約満了となり、私は会社を後にした。
契約更新する事も出来たけれど、智樹と同じ職場にずっといるのは良くないと判断したため。


晴れて無職となった日。
そのタイミングで、私達は入籍をする事となった。


その日はちょうど一年前、私達が職場で再会した日。
私はその日、「鳴嶋京香」から「吉岡京香」になる。


「なんか、感慨深いなぁ…」

「どうした?突然」

「あのね、一年前の私は、一年後がこうなるなんて微塵も思っていなかったの。当分恋愛も結婚もいらないって、そう思ってたの。だけど、人生って分からないものだね」

婚姻届けを出しに役場へ向かう途中で、私はそう智樹に言った。
智樹は私の言葉に軽く頷く。

「そうだね。俺もまさかこうなるとは思わなかった」

そう言って笑う。

「そういえばさ、京香は俺と初めて二人で飲みに行った時、言ったよね?次はきっといい結婚生活が送れると思ってるって。それさ、きっとじゃない、絶対だよ。絶対俺がそうさせてみせるから」

「本当に?」


「……ああ、二度目だからこそ、絶対、な」


そう言って、智樹は私に向かって大きく手を広げた。



そこは、幸せのスタートライン。

眩い光に満ちた未来が待っている。



智樹の言葉に、私はここ一番の笑顔を見せた。



――そして、思いっきり智樹の胸の中に飛び込んだ。





~END~