マンションへと着き、智樹がカギを開け先に私が中に入った。

一日ぶりの我が家。
たった一日なのに、こんなに懐かしく思えるのはなぜだろう?

感慨深く部屋を見渡していると、後ろから智樹が声を掛ける。


「――京香」

振り向くと、そこには真剣な表情を浮かべた智樹の姿。
ドキリと胸が高鳴った。

「どうしたの?」

「俺さ、周りにはもう結婚するって言ってたけど、ちゃんと京香に言えてなかったよな。本当はもっとムードのある所で言うのがいいのかもしれないけど、でも、今、京香に言ってもいいか?」


どくどくと心臓は激しさを増す。
智樹の瞳が情熱的に揺らめく。


「俺は、京香を愛してる。俺と結婚してくれますか?」


目の前が滲んでぼやけていく。
愛してるという気持ちが、身体の中から溢れていく。


……ああ、私は。
きっと今、一番幸せな人間だろう。

一番欲しい言葉を、一番言って欲しい人に言って貰えた。


――愛してる。
それはなによりも揺るぎない、幸せの形。


私は満面の笑みを浮かべた。

そして、ありったけの想いを込めて、智樹に贈った。



「――もちろん!私も、智樹の事を愛してる……!」