その後、遅れて沙織たちの待つ居酒屋へと二人で向かった。

居酒屋ではすでに沙織たちが飲んで私が来るのを待っており、まさか智樹まで来ると思っていなかったのか、少し驚いていたようだったけど、快く受け入れてくれた。

有希は私が一向に来ない事を心配して、メールを入れていたらしい。
携帯を見るのをすっかり忘れていて、落としていた電源を入れる。

10件以上の未読メール。
有希のメールに交じって、智樹が送ったメールも含まれていた。

それだけ心配してくれてた事に、また心が痛む。
もう絶対、こんな心配はさせないと心に誓った。


それから遅れてきた原因を沙織達に話すと、沙織達も智樹と同様に怒り、そして私を心配してくれて。
続けて智樹が結婚すると報告すると、今度は物凄く喜んでくれた。

「幸せにするって言ってたもんね!良かったね、京香!今度こそ、絶対に幸せになるんだよ~」

少し酔っぱらいながらも、沙織も有希もそう言ってくれて。
みんなの優しさに心打たれ、また涙を流してしまった。


そして、そのまま四人で楽しくお酒を酌み交わし。
気付けばもう、とっくに日付が変わる時間になっていた。

居酒屋の前で沙織たちと別れ、私達はその場を通るタクシーを止めて乗り込む。
タクシーの中でも智樹は私の手をしっかりと握り、離す事はなかった。

智樹の手から、思いが伝わってくる。
もう二度と離さないという気持ちが伝わる。

私ももちろん同じで。

絶対に離さないって、私もまた智樹の手をしっかりと握っていた。