智樹は、深くため息を付いた。


「軽率な行動をしてしまった罰かなと思ったよ。だからアイツにはハッキリと言ったんだ。もう二度と戻る気も、二人で会う事も一切ないと。俺が京香と付き合っている事が耳に入って、惜しくなったんだと。もうさ、呆れるよな。だったら浮気なんてするなっての」


「そうだね。……本当に馬鹿だ。でも、一番の馬鹿は私。こんなに智樹は私の事を大切に想ってくれてたのに、信じる事が出来なかった私だよ。心配させて、ゴメンね」



――そう。


一番の馬鹿は、私。

智樹を信じる事が出来なかった私。


だからこそ、もう間違いは起こしたくない。


この腕を離したくないから。

二度と離れたくはないから。


――苦しい想いを抱えるのは、もうしたくないから。



「俺の方こそゴメンな。もう不安になんてさせないから。絶対させないから」



智樹の言葉が胸に響く。
もうどうにも我慢が出来なくなって、声を上げて泣いた。


智樹の温かな身体に包まれる。
その温もりはじんわりと私の心に染み込んでいった。