その時だった。 「楓……」 和樹はそうつぶやきながら、涙を流した。 「……っ」 ──ズキッ あれ? 何これ? 前もこんなことがあったような……。 いやいや! そんなのあるわけない! 首をぶんぶん振って、気を取り直す。 私は和樹の背中を叩きながら、 「起きろ! もう昼だぞっ!!」 って言ってあげた。 「ん……。……はっ!? な、なななんで音羽がこんなところに!? ここ俺の部屋だよな……」 「やっと起きた……」 私は溜め息混じりに言った。