「……ここでいいかな」



ネルロはそう言うと、上昇を止める。

僕の頭上には街の明かりよりもさらに瞬く星たちが輝いていた。



「ごらん、この星たちの煌きを」


僕は真っ黒なキャンバスに光る星たちを見渡した。


鼓動のように煌きを放つ星もあれば、ただひたすら輝き続ける星もいる。

そしてたまにその闇の中で、一際明るい光りを放って流れゆく星もあった。



僕はため息を零す。


「……人並みにしか言えないけれど、綺麗だ」

「この星たちは、死んだ者たちの魂の輝き。肉体から離れた魂は、みな同じようにこの夜空に輝く星となって、また新たな命となる」

「死んだ人の……?」

「ああ、そうだよ。全ての魂が、この闇夜の中で光り輝いている」


ネルロの言葉に、僕は胸が高鳴った。


死んだら、僕も星になれる?

何もない無機質な闇だけの世界に旅立つわけではなく、夜空に輝く星に、僕はなれるということ?


「君は生まれてから今まで、相当な苦労をしてきたね。そのぶんだけ、君はより輝く星となるだろう。……死を恐れないこと。いずれ誰にでも死は訪れる。けれど、それで終わりじゃない。その後も君は新たな命を、この空で輝かすことができるんだ」


「そう……なんだ。この僕が……」

「君が輝かせる光はとても眩いだろうから、きっと誰かの希望になれるだろうね。それはとても素晴らしいと思わないか?君もそのために輝かせる希望を持てる。死ぬことは絶望ではないし、無でもない。新たな生の始まりだよ」



そう言って初めてネルロは、僕の前で笑みを見せた。

思ったよりも優しい笑顔に、つられて僕も笑みを零す。