――痛い、苦しい。

自分の人生の大半はそんなものしかなく、こんな思いをするならば死んだ方がましなんじゃないかって、何回も考えた。

だけど、いざ本当にそれが近付いているのを知った時、その感覚すら無くなってしまうんだ、とやけに恐ろしくなった。


それはきっと、


「死は、苦しいと思う事すら出来なくなる、真っ暗な無だと思うからだよね?」


僕が言わんとしたことを、ネルロが先にそう話す。



……驚いた。
僕の考えている事が分かるの?



「……違うの?」


そう聞き返す。


「君に見せたいものがある。気合を込めて身体を起こしてごらん?」

ネルロはニッと笑うと、僕に起きるように促す。


自ら身体を起こすなんて、いつから出来なくなってしまったのか。

こんなに体力も気力もない今、それをやれなんて……。


「……出来ないよ」

そう一言漏らした。けど、ネルロは畳みかけるように言う。


「出来ないかどうかは、やってみないと分からないよ?……さあ」