部活が終わり帰ろうとした僕に珍しく千尋先輩のお友達に声をかけてきた。




「今日千尋おかしかったじゃない?椎名くん一緒に来たし何があったか知ってる?知ってたら教えてほしいんだけど。」



僕は言うべきか言わないべきか少し迷ったけれどこれは僕が言うべきことじゃないと思った。



「すみません。何も知らないです。先輩とはたまたまここに来る途中で会ったので一緒に来ただけなんです。」


「そっか!ごめんね、ありがとう。」


「いえいえ、お力になれなくてすみません。」



眉を下げぺこりと頭を下げる。


そして申し訳なさそうに微笑む。




そして見慣れた通学路を歩いているとそこにいるはずのない人がいる。




「先輩!!こんなところで何してるんですか?先輩のお家はここから真逆のところにありますよね?」



「あー、また、君。今日はよく会うのね。今日から1週間だけ祖母の家に住むのよ。その祖母の家はこの辺りなの。」



「そうなんですか!偶然ですね。僕の家もこの辺りなんです。」




「へぇー、この辺に住んでるんだ。じゃあ、案外遠いとこから通ってるのね。」




「そうでもないですよ。電車で5駅ぐらいですし駅からそんなに遠くないので。」



「駅から遠くないのはいいわね。」




そんな他愛もない会話に幸せを感じながら歩いていたら先輩がいきなり立ち止まった。


僕も釣られて立ち止まる。




「どうかしましたか?」



「右と左に曲がり道があります。あなたはどちらに行きますか?」



「僕は左ですけど…。いきなりどうしたんですか?」




僕の質問を華麗にスルーして先輩は左に歩き始めた。