先輩はいつも僕の1枚上な気がして、なんだか悔しい。



「ねぇ、和くんの卒アル写真ある?」



「ありますよ。小学校と中学校、どっちが見たいですか?と言っても中学の卒アル写真は今と大して変わらないし、つまらないですよ」


「なら、小学校の見たい」


棚の一番下の段にある小学校の卒アルを取ると先輩に渡し、隣で一緒に見た。


「和くん可愛い。身長も低かったのね」


昔の自分を見られるのって、気恥ずかしく仕方ない。


「中学に入ってやっと伸びましたからね」


小学校の頃は、前から数えた方が早いんじゃないかってくらい背が低かった。


それでよくからかわれたなぁ。


「今度、先輩の卒アルも見せて下さい」


「え、嫌よ・・・」


「僕のだけなんてズルいです」


「だ、だって、私写真写り悪いのよ。いつもムスッとした表情で写っちゃうの」


「それでも見たいです」


「思ったんだけど、それってつまり私の家に来たいってこと?」


確かに、と思って少し動揺した。


「ダメですか?」


「ううん、全然。だって彼氏だもの。そうしたら、初めて私の家に来る男の子は和くんになるね」


高梨先輩は行ったことがないのかな。


「恭は一度も来たことが無いよ」


「え?」


心の内を読まれて驚いた。



「和くんって、分かりやすい。そこが良いところね。本当可愛い」



先輩が僕にキスをしようとした。



だけど僕は、すかさず先輩の口を手で覆って阻止した。



案の定、先輩は「え?」と驚いた顔をした。



「いつも先輩からなんて、ズルいです」



「・・・」



口を塞がれた先輩は、頬を赤く染めたままだ。



空いたもう片方の手を先輩の手に絡ませ、じっと見つめあった。



いつの間にかしらたまは先輩の膝から降り、開いていた部屋のドアから消えていた。



ああ、この眺め結構良いかも。



「・・・好き、ずっとずっと。絶対に離さないから。だから先輩、ずっと僕だけを見ていて下さいね」



先輩の口から手を離すと、その艶やかな唇にキスを落とした。






長い長いキスを。