「奪うつもりはないって言ってるけどそれ絶対に本心じゃないよ。好きなのに付き合わなくていいなんていい人のフリしながら本当は振られるのが怖いだけ。逃げてるだけだよ。」



「彼氏のいる人に告白しろって言うの?」



「彼氏がいるからって告白したらいけないなんて決まりはないし告白する人もいるさ。」




それはそうかもしれないけど常識から考えてそれはタブーなんじゃないの?




「今は関係を変えたくないからいい。」




「まあ可能性は無きにしもあらずだな。今後の行動しだいでは伊吹先輩の心を捉えることが出来るかもしれないな。」




無きにしもあらず…か。



確かないわけじゃないとかそんな意味だったよね?




0%ではないけれど1%の望みもない。



でも諦められないのが今の僕。





「未来って決まってると思う?」



「そんなの決まってたら人生面白くないじゃん。」



「だったら先輩の心が変わる可能性も十分あるよね?でも行動するのは今じゃない。」



「お前でもちゃんと考えてんだな。」



「考えてるに決まってんじゃん。僕をなんだと思ってるわけ!?」




真司馬鹿にされて拗ねる僕。



それをケラケラ笑う真司。



見慣れた光景がなんだか心地よい。



馬鹿にされていい気なんてしないのに。





「高梨先輩、厄介な人だよ。」


「知ってる。話したことはないけど見たことあるし。僕が見てもかっこいいしね。」


「会ったことあるんだ?」


「試合前は部活来るからね。」


「よくわかんねぇ人だな。」




とにかく真司が高梨先輩を好きでないことだけはわかった。



僕も恋敵という意味では好きではないけれど。