次の日の昼休み、僕は真司と例の空き教室までやって来た。




「わざわざ伊吹先輩との時間を割いて俺とここに来るなんて、どうしたんだよ」



「聞きたいことがあってさ」



「聞きたいこと?」



ゴクリと唾を飲み、口を開いた。



「・・・あの時、真司はここで見てたの?」



「ああ、見てた」


何も躊躇うことなく、答えた。


まるで、そう聞かれる覚悟が出来ていたような。


「じゃあ、あの貼り紙は」



「俺が新聞部に流したんだよ。そうしたら、新聞部があの紙を貼った。勿論、そのことを予想してた」



「・・・」


僕は黙った。



「あの光景を見て、関係の無い俺までも頭にきたよ。アイツの本性を晒してしまえば、アイツに騙されるやつも居なくなると思った」


それを聞いて、胸のモヤモヤが晴れた気がした。


別に真司のその行動は、真司の考えがあってのことだし、悪いとは思わない。


「そっか」



「悪い」



「なんで謝るの。人を思っての行動でしょ?僕は謝る必要ないと思うな」



「いや、でもあの場に居たこと黙ってたし」



「あー、それについては言って欲しかったな」



「悪い、知らないフリして」



「いいよ。もう過ぎたことだし。今が幸せならそんなちっぽけなこと、問題なし!」




「そうか。なら言うけど、この間お前の弓道衣踏んで汚したの俺だ」



「ああ!あの足跡、真司だったの!?」



「もう過ぎたことだろ?」



「あのあと洗う暇無くて、あのまま部活やってたら、先輩に笑われたんだからね!?」



「悪いって」



「もう!後で何か奢ってよ!?」



「ほいほい」