あの時、僕は真司と一緒に自販機で飲み物を買っていた。



その帰り、時間も気にせず廊下を歩いていると、鐘が鳴った。



「やべ、急ぐぞ!」


「うん!」


急いで教室に戻ろうとした時だ。



空き教室の方から先輩の叫び声が聞こえた。


その声に耳を澄ませるように立ち止まった。


「おい、何してるんだよ。早くしないと先生に怒られる」


「先戻ってて!」


「って、どこいくんだよ」


真司の止める声を無視して急いでその元へと走った。


そして、行ってみれば先輩が襲われていた。



あの時、空き教室前の廊下の先には誰も居なかった。


人が居る気配すらなかった。



その時、ふと真司の言葉を思い出した。


僕に掲示板の貼り紙について話してくれていた時____


『掲示板に、高梨先輩が言ってたことが丸々書かれた紙が貼ってあった』


高梨先輩が言ってたことってどういうことだ。


真司は、あの場に居た?


高梨先輩の言ったことを聞いていた?


それで、あんな紙を掲示板に?


全てが憶測で、証拠なんて形に残ってない。

掲示板に貼られていたあの紙は、パソコンで打たれた文字だから、証拠にもなんにもならない。


本人に聞いてみよう。


これは、僕のちょっとした好奇心だ。


真実を知りたいだけ。


それだけだ。


もし真司のしたことなら、理由を聞こう。