「・・・ニヤけすぎて、気持ち悪い」



真司に何を言われても気にならない。だって、もう嬉しくてニヤけ顔が止まらない。



思い出したら更に、ニヤニヤが止まらなくて真司に冷ややかな目線を送られた。



「・・・あの、先輩。帰り、その同じ駅なので一緒に帰りませんか?また、その何かあっても嫌ですし、こんなやつでも一応男ですから」



あなたを守ることもできます。は喉元まで出かかったけれど、言えなかった。


あの後、先輩に男らしいと言われた僕は、有頂天で舞い上がっていて、先輩が教室に帰ると部室を出ようとしたところを呼び止めた。



せっかく、二人っきりの時間だったのにもう、それが終わってしまうのがたまらなくて。



僕の言葉に少し戸惑っていた先輩だったけれど、


振り向きざまにはにかんだ笑顔で一言、「いいよ」と言ってくれた。



可愛かった。今まで僕は千尋先輩のことを綺麗だと思っていた。


外見もそうだし、凛とした佇まいや同年代の人よりもずっと大人びて見える表情。


全てにおいて綺麗だと。



でも、さっきの千尋先輩は本当に可愛かった。


あんな可愛らしい千尋先輩が見られるなんて、なんて幸せな日なんだ。


そして、先輩と帰ることが出来るなんて本当に星占いに全部感謝しなきゃ。