先輩の後輩ってなんだよ。


自分で言っててもっとマシなことが言えないのかと思う。目の前の女子たちもざわつき始めた。



ああっ、格好悪い。


スマートにカッコ良く助けたかったのに。



「・・・ぷっ、あははは。確かに先輩の後輩よね。ねぇ、もういいかな?」



「はあ?あんた、何急に態度変えてんのよ」



一瞬、和んだ空気が一変。先輩の言葉に女子たちが牙を剥く。


僕よりも彼女たちの方が先輩には近い。振り上げた手が先輩を叩こうとする。


僕が庇いに走っても間に合わない。



そんな時だった。大きくけたたましく鳴り響くアラーム音。

女子たちが慌てふためき、耳を塞いでいる隙に僕は、先輩に駆け寄り、


先輩の手を思っ切り握って逃げるようにその場を駆け出した。



「ちょ、ちょっと」


「すみません、先輩。とりあえず、逃げましょう」



初めて触れた先輩の手は柔らかくて余計に僕をドキドキとさせる。


ずっとこのまま繋いでいたいけれど、さすがにそれはできない。


とりあえず、僕は彼女の手を掴んだまま、思いついた場所へと向かった。



「へえ、男子の部室ってこんな風になってるのね」



とりあえずやってきたのは、男子更衣室を兼ねた部室。


それぞれの道具が置いてあり、ここで着替えて弓道場に向かう。

男子更衣室だからか興味津々に周りを見渡す先輩の姿に少しだけ凹んだ。