私は思い切って口を開けた。

さっきと同じように。

でもいつまでたっても入ってこない。
ベルトのおとがしない。
足音がしない。

まさか近づいてきていない?

目を開けた。

さっきより中には入っていたが少々遠い。

それよりも私この男の顔をジロジロとみた。
どこかで見た顔。
確か教室。
真愛が指していた男に似ている。
確か…

「蜩くん?」

「は?」

「すみません!ごめんなさい!叩かないで下さい!」