朝から幸せだなー……



「美琴ー?聞いてるかー?」



前言撤回。


こいつがいるから幸せじゃない。



「ん?」


「なんかあったらすぐ俺に言えって言ったんだよ」



なんでよ。


あんたなんかを頼るわけないじゃん。



「うん」



私、演技力が日に日に付いてってる気がするよ。


思ってることと、真逆のセリフがスラスラと出てくる。




「キャーッ!黒瀬くんよ!」



校門を過ぎたと思えば、女子みんなの耳をつんざくような甲高い声。



朝からうるっさいなぁ……



「待って、あの女、誰!?」



来たぁ……


面倒な展開。



これだから、イケメンの横に並びたくない。



「黒瀬くんの横に並べる女子は、黒瀬くんの好きな人くらいよね?」


「じゃあ……あれが目無し?」


「目無しがあんなかわいいわけないでしょ」