fairy3 空の物語 上

【グリード】

『本当にあんなことしても良かったの?』

『しつこいぞ、ラース』

さっきルルを送り届けて来たラースが、エンヴィーと戻って来たところだ。

『それから、ルル様からのご命令がある』

『なんだ?』

『グラトニーを、ハヤテ様に近づかせるなと』

『……なるほど』

俺は、窓の外に目を向ける。

『あいつは、手加減を知らないからな』

『あいつの頭は、食べることしか詰まってないんだよ』

グラトニーは、暴食の妖精ということもあり、俺たちの兄弟姉妹の中では、一番厄介なやつだ。

『それで、肝心なグラトニーはどこ行った?』

『さぁ?またどっかで何か食べてんじゃないの?』

ま、いいか……。

『エンヴィー、スロウスを見なかったか?』

『ううん、お姉様と一緒にいたから分からない』

あいつもあいつで、どこに行ったんだ。

『スロウスの行先なら、俺が知ってるよ』

『プライドか?何故知っている』

『スロウスの部屋にこれがあったから』

俺は、プライドから紙を受け取る。

『もうアクからの命令が下ったか』

『じゃあ、もう人間界に行ったのか?』

ラースの言葉に、俺は頷く。

きっと、寝起きだから凄く機嫌が悪いだろう。

そんなスロウス相手に、シアンたちがどう立ち向かうか楽しみだ。

それに、時間が経てばルルは必ず俺のものになる。

そうなる運命だからな。

『そ、それとねグリード』

『なんだ?エンヴィー』

『も、もしかしたら私の勘違いかもしれないんだけど……』

『はっきり言ってみろ?』

俺は、エンヴィーの目線に合わせて声をかける。

『し、シアンが現れる前に、強い力を感じたの』

『っ!』

その言葉に、この場にいるラース・プライドは驚いた表情を見せた。

『シアン以外に強い力の持ち主だと?』

『も、もしかしたら気のせいかもしれないけど!』

エンヴィーは、ラースの後ろに隠れた。

シアン以外の強い力を持ったやつだと?

俺の中では、一人の妖精しか浮かんでこない。

だが、あいつは何十年も前に死んだ。

生まれた直後に、アクが殺している。

“リヤン”の筈はない。

『じゃあ、一体誰だ?』

シアンたち以外にも、俺たちの計画を邪魔しようとしている奴らがいるのか?