【雪菜】

あの時のことは、あまり覚えていない。

私はいつもどおり、泉へと遊びに行ったシアンを待っていた。

でも、体の中で何かを感じた。

そして、シアンは帰ってくることなく、私の心は壊れてしまった。

お父さんとお母さんは、すぐに私をヴィーナスのところまで運んだ。

「ヴィーナス!雪菜の心は!」

『すまない。全部、私のせいだ……、この子の心を壊してしまった……』

私は、お母さんが誰と話しているのか分からなかった。

隣にいるのは誰?

私はどうしちゃったの?

私の心は、どうなったの?

でも、全部どうでもいいや。

心がなくても、生きていける。

心をなくしてしまった私は、そう思ってしまったんだ。