すぐにグリードの気配を察知出来なかったのは、私の落ち度だけど、まさかこんなに早く出てくるなんて思っていなかった。

想定外のことが起きて、私の中で焦りが生まれる。

『どうした?リンクしないのか?』

『くっ……』

今の人数でグリードとまともに闘うことは、自殺しようとすることと同じだ。

今は闘うことよりも、逃げることを優先にして考えないと……。

『場所を移動しましょう』

「シアン?」

『どこで闘う気だ?』

『キセキの泉で』

『あそこか、それは時間稼ぎのつもりか?』

『違うわよ。ここだとまともに闘うことが出来ないからよ』

グリードは、少し考えてから言う。

『分かった。キセキの泉で勝負と行こう』

グリードの後ろに黒い扉が現れる。

その扉は、アクが使っていたものと同じものだった。

『俺は先に行っている。仲間を集めてから来るよもし、お前たち二人で来るもよしだ』

『なら、お言葉に甘えて仲間が全員揃ったら相手してあげる』

どうやらグリードは、一人で私たちを相手にすることを望んでいるみたい。

それならそれで助かるけど……。

グリードは軽く笑うと言う。

『いくら来ようが、勝負の行方は目に見えているがな』

グリードはそう言うと、黒い扉の中へと消えて行った。