学校について、私はドカッと椅子に座った。

うん、もう女の子らしくない座り方だ。

「はぁ、つっかれたー」

「まだ授業も始まっていないのにどうしたの?」

朝部活終わりの愛斗が、心配そうに私を見てきた。

「朝に知らない男の子とぶつかっちゃって」

「え、そうなの?」

『前を向いていなかった雪菜が悪いのよ』

『それは、雪菜が悪いな』

シアンとソレイユは一緒に頷いた。

「もうシアンたちの意地悪……」

そう言って頬を膨らます。

そりゃ、前を見てなかった私も悪いけど、あの男の子だって私の姿が見えていたなら、避けてくれたっていいのに……。

「どんな男の子だったの?」

「えっと……、かっこいい男の子だった」

「か、かっこいい男の子?!」

何故か愛斗が驚いて、そんな愛斗の様子に私は首を傾げた。

かっこいい男の子に興味でもあったっけ?

『愛斗、優空に続きうかうかしてられないな』

「ソレイユは黙ってて!」

愛斗は慌ててソレイユの口を抑えた。

『愛斗も大変ね……』

「何の話し?」

『天然ちゃんには分からない話し』

天然ちゃんってなに?!

「おはよ」

『あら、珍しい人が来たね』

「ゆ、優空君!」

ゆ、優空君が初めて自分から挨拶してくれた。

やばい、凄く嬉しい……。

「や、やぁ優空、おはよう」

「あぁ」

『あなたの方から挨拶するなんて珍しね』

『たまたまよ、今日は特別に優空の方から挨拶してあげたのよ』

『なら、クレールも私たちに挨拶しないとね』

『なんで私が、あなた何かに挨拶しないといけないのよ?』

シアンとクレールの間で火花が散る。

二人って仲悪いんだっけ……?