涙なんてもう忘れていた。 「どうしたの?」 突然、声をかけられた。 瑠奈「だ、だれ!?」 振り返ると、人懐っこそうな顔の男。 「俺、最近、藍染に入ったんだ。迷っちゃって。あなたがここのお嬢様?」 少しの安らぎが出来た。 彼の名前は、春。 ほんとうに春の暖かさみたいな人で、いつも面白い話を聞かせてくれる。 藍染での私の唯一の友達。 ぜんぜんヤクザっぽくなくて、ほんとうに春がいたからまだ正気を保てていたのかもしれない。