「おい、秋…奈!そっちは危ないだろ」

「え、だって、こっちの方が近道だよ」

「今は夜だ。こんな暗いときに通る道じゃない」

 あぁ、夢だ。2年前の、あの日の記憶…。

 雪がちらついている街の中。

 傘を忘れてしまったから、家まで最短距離で行ける道に進もうとしてる私と、それを止める瞬。

 大通りはビルから漏れてくる光や街頭で照らされて多くの人が急ぐ。

 だけど、その通りを外れた道はすっかり真っ暗だ。

 先が見えないくらいの闇が広がっていても、何も怖くなかった。

「でも、遠回りしてたら濡れちゃうよ」

「濡れたとしても、こんな道行くよりましだろ」

「もうすぐ入試なのに」

「う…」

 瞬の入試まであと1週間。推薦で行く瞬の方が1か月くらい早い。

 私は一般だからまだ先だけど、瞬は風邪をひいてる場合じゃないんだ。