でも、予想外過ぎた。

 まさか総長直々に来るなんて思ってもなかった。

 今まで夜の間に下っ端が送り込まれていたのは知ってた。

 それを夏樹が片っ端から倒して口封じさせていたことも。

 下っ端が来るようになって1週間もしないうちに総長が幹部だけを連れて乗り込んでくるだなんて予想もしていなかった。

 まさか、夏樹がいない時にこんなことになるなんて、思ってなかった。

 こいつらが誰なのか、秋奈以外はみんなすぐに分かっていた。

 それだけ、この人たちは裏の世界の中でもこの辺では特に悪名高いから。

 だから、秋奈を逃がそうとした。何も知らない秋奈を裏の世界の事情に巻き込ませたくなかったから。

 だから夏樹は言えなかった。この人たちとの関係を。

 すべては秋奈と瞬桜を巻き込まないためだったのに。なのに、秋奈が…。

「お願い、秋奈をこれ以上傷つけないで!!」

「…さっきから下の奴らもだけど、やたらあの子を庇うよね?あの子、夏樹の女?」

「違う!秋奈は何も知らないの!あなたたちのことも、裏の世界のこと、何も知らない子なの!だから、これ以上傷つけないで!!」

 今は何でもいい。この銀髪を何とか説得できれば秋奈を遠ざけられるかもしれない。

 秋奈だけは逃がさなきゃ。