「秋奈!!?」

 後ろが階段であることも忘れて逃げ回っていた秋奈の体が不意に掻き消える。

 直後に聞こえたのは鈍い大きな音。

 あの急階段を落ちた。無事なはずがない。

 今すぐ秋奈に駆け寄りたいのに、窓から入って来た銀髪に拘束されて動けない。

「ッチ」

「やめて!!秋奈にこれ以上ッ」

「うるせぇよ。やめときな。今キョウヤはご立腹だ」

 まるで面白がるように話すこの男は、ニヤニヤ笑みを浮かべて階段を下りていくキョウヤを見つめている。

 私の声なんて何も聞こえてないみたいにキョウヤは階段を下って行った。

「それにしても、あの子何者?木刀持った瞬間急に殺気づいたよね」

「あんたには関係ない!!」

「…まぁ、別にいいけど?俺が興味あるのはキミの方だし?」

「ッ…」

 この男、ハッカーなのか…。

 六花の名前で反応したし、多分あいつらの中で情報担当。

 それなら、私に私怨を抱いていてもおかしくない。

 こいつらから夏樹の情報を手当たり次第に隠していたのは私で間違いないから。