「ッ…また、随分勇ましいね」

「…」

 敵は30人ちょいか…。

 面白れぇ。この体でどこまで動けるかしんねぇが、俺の色に染め上げてやる。

 脱力した体制から、一気に距離を詰めて相手の懐に入り込む。

 っは、反応すらできてねぇじゃねぇか。

 鳩尾を打ち、倒れるのを待たずに隣で呆けてる奴の首を貰う。

 赤が舞う。世界が染まる。

 歓喜を抑えきれず、口角を上げる。

 立ってる奴を次々に倒し、赤が舞い上がる。

「っはは…っははは!!」

 こんなに気分がいいのは久しぶりだ。存分に暴れられるのもな。

 だが、ッチもう立ってる奴がほとんどいねぇじゃねぇか。

 つまらねぇ。もっとだ。もっと、楽しませろ。

 直後に感じた、ここの中で最も凶暴な殺気。

 振り返ると、叩き潰さんと言わんばかりに迫ってくる拳。

 その拳を刀身で受ける。

 だが、一瞬で砕けた刀身の向こうから勢いが収まらねぇ拳がなおも突き進んでくる。