目を覚ますとあたしは自分の部屋のベッドの上で寝ていた。


窓の外から小鳥のさえずりが聞こえてくるから、もう朝なのだろう。



ベッドから体を起こすと、ちょうどドアをノックする音がした。



「誰だ?」


「知由ちゃん、起きてる?」



香苗がドアを開け、顔を覗かせながら言ってきた。



「今起きた」


「そっか。あ、朝ごはん食べる?」


「あー……、今日はいい。だが、正広に話があるから、あとで行く」


「はーい。待ってるね」



香苗は楽しそうに言って、ドアを閉めた。



そしてあたしはベッドから降り、クローゼットを開ける。


適当に近くにあった服を取り、着替える。



脱いだパジャマをベッドの上に置き、黒いリボンを左目上あたりに付ける。



「あ、おはよ、ちぃちゃん」



食卓に向かうと3人が楽しそうに朝食をとっていた。


あたしに気付いたウサギが軽く箸を持った右手で手を振る。


ウサギの言葉を聞いた香苗と正広がほとんど同時に振り返り、あいさつをしてくれる。


あたしもあいさつを返し、ウサギの横に座る。



「それで?俺に話があるんだろ?」



正広が目玉焼きを口に運びながら聞いてきた。


これっぽっちも聞こうという気が見られないが……


まあいいだろう。



「成瀬優弥と咲が殺害された事件を知っているか?」