翌日、午後5時。


星野家にパトカーが次々と到着する。



「いよいよだな……」



刻一刻と乱魔との勝負の時間が近付いていく。


うまくいくかどうか不安もあるが、今はあたしに付いてきてくれる人たちを信じるのみだ。


大丈夫、きっとうまくいく。



「そろそろだ!各自準備しろ!」



数時間後、正広の声がその場の全員に届く。


どこから見ても家の中に入れてもらえないダメ警察だ。


あとは、あたしが金庫の部屋に行けばいい。



「ねえ。あなたがラビットなの?」



後ろからいかにも気の強そうな声で呼び掛けられ、振り向いてみると、あたしとは正反対な少女がそこに立っていた。



白のフリルがついた大きめのスカート。


なにか羽織っていて中に着ているものは見えないが、パッと見、ドレスのようだ。


それに加え、フワフワの茶髪に大きなリボン。


まるで天使のよう。



言うまでもない。


彼女がこの星野財閥の一人娘だ。


星野瑠美(ほしのるみ)。


あたしの5つ上だから、14歳。



「………………チビね」



はあぁぁぁ!?


まじまじと見た感想がそれか!?


ありえない!


財閥のお嬢様ってのはこんなものなのか!?



「あんたみたいなのに、うちの宝が守れるって言うの?フフッ……バッカじゃないの。この私よりもチビなあんたになにができるって言うのよ」



なぁー!!


あたしがなにも言い返さないのをいいことに!


好き放題言って!


あたしの能力があったら、あんたの財閥なんて簡単に潰せるんだからな!



「なによ、その目。私は事実を言ったまでよ?怒る理由なんてどこにもないじゃない」



あー、本当に腹が立ってきた。