「こんばんは、柏木さん」



数分後、柏木のもとに到着。


柏木を守るように住吉とラビット、三崎が立っている。



そして、柏木の手の中に万年筆──



いや、違う。


あれは偽物だ。


本物はどこに……?



「どうした、乱魔。盗まないのか?」



あー、俺、あんたのそういう人をバカにしたような態度キライ。



ガキのくせに。


こいつはどこに本物があるのか知ってる。


当然っちゃ当然なんだけど。



『乱魔、悪い。俺のミスだ』



空海のせいなわけあるか。


こんなの、誰が見たって柏木が持ってると思う。


……どこだ。


どこにある…………



「おとなしく帰るのはお前のほうのようだな」



黙れよ…………



「帰るか捕まるか。どちらを選ぶ?乱魔よ」



選ぶわけねぇだろ。


とにかく、黙れっての。



「これ以上お前の好きなようにはさせないからな」



いい加減にしろ…………



と、そのとき。



住吉の視線がわずかだが、動いた。


動いて、ラビットのでかい肩掛けのカバンを見た。



なるほど。


あの中か。



さあ、どうやって盗む?


簡単には盗めねぇぞ……



『乱魔』



俺が悩んでいると、空海に呼ばれた。