『3丁目のとこのですよね』


「明日の朝9時、そこにみさきを置いておく」


『わかりました』



すると、そいつは電話を切った。



「一弥、逆探知できなかったぞ」



海が不服そうに言った。



「まあ大丈夫だって。俺に任せろ」



自信ありげに言ったはずなんだが、海と滋は不安そうな表情を浮かべる。



もうちょい仲間信じてくれてもよくね?


俺のこと、そんなに信用できねーの?



ま、今はいいんだけど。


俺は残りの紙に字を書く。



『今日はもう遅いから、寝ろ』



しかし、それを見せてもみさきは首をかしげるだけ。


あ……




俺は漢字の上に読み仮名を書き、もう一回みさきに見せた。


すると、うなずいて、カバンを机の上に置いてソファーに寝転んだ。



漢字が読めなかったんだな。


まだ小学生くらいだもんな。



俺はそんなことを思いながらみさきにブランケットをかけた。



「一弥、僕らも寝よ」



滋があくびしながら電気のスイッチに手をかけている。



「あー……、俺ここで寝る」



みさきになんかあったらそれはそれで困るし。



俺はみさきが寝る近くの椅子に座った。



こうやって見ると、やっぱ天使みたいだ。


いや、起きてるときも十分かわいかったんだけど。



小顔に合わないくらいの大きな瞳。


なんだか、引きずり込まれそうだった。



「おやすみ、みさき」



部屋はあまりにも静かで、俺の小さな声はわずかに響いた。