「何?」
征吾の問いかけに我にかえる。


「あっ。。。上がってたんだ」


「はぁ?何ボケてんの?
『お先に』って言ったら
『あ〜はい』って言ってたじゃん」


「あ・・・じゃあ入ります」
逃げるようにシャワーへ向かうあたし。


こんなのであたし
一晩持つのかな。。。


そんな長風呂だったわけじゃないのに
上がってみると征吾は爆睡していた。


起こさないように
足音を立てないように忍び足に。


だが スキンケアをしていると
あっ!キャリーケースの中に
化粧ポーチ忘れた!
と 立ち上がり取りに行く。


あっ!ヘアーブラシ忘れた!
とまた取りに行く。


あっ!ビタミン剤!
最近肌の調子が悪いので
夜だけサプリメントを飲んでいるあたし。


それを取るため3度目の移動。


「おいこら!
一回にしろや!」


不機嫌に言われてしまった。


「起こしちゃいましたか
ごめんなさい」


「寝てはない
目を閉じてただけ」


うそ・・・寝てたくせに。


「スースー言ってましたけど?」


「そう?
そー思ったなら起こさないように
静かにしろよ」


「すみません」


ここでもあたしは謝る
会社でも旅先でもどこでも
あたしは謝る立場。