久しぶりに
廊下で水口さんに会った。


「七瀬さんごめんね」


文句の1つでも言ってやろう!
と思っていたのに
ごめんねごめんねと
何度も何度も頭を下げられると
何も言えなくなる。


ちょうどその場所を社長が通りかかった
「深刻な話でもしてるの?」
そう見えたのか。。。


「いえ」

「実は水口くんはうちの嫁に
なるんだ 何か揉め事か?
話してみなさい」
社長に言われるが
ますますこの場では
言えるはずがない。


これからお舅さんになる社長の前で
水口さんの立場が
悪くなる様なことは可哀想だから
言えない。


「いえ・・・何でもないです!
では失礼します」


あたしの方が逃げる様にこの場から
去った。


「水口さんに謝られちゃった」
と主任に報告すると
「一発二発殴った?」
と笑いながらだけど嫌なことを言う。


「そんな凶暴じゃないですっ!」


「あはは 知ってるよ」


「もぉ!!!
でも一言二言は言ってやろうと
思ったんだけど言えなかった」


「優しいな」


「でしょ?フフフ」


「何がフフフだよぉ」


主任はあたしのおでこをツンッと弾く。


「ちょっと辞めてくれませんかね?
イチャイチャするなら
見えないところでやってくれます?」


そこへ翔太が現れた。


「見たくないなら目を瞑ってろ
それより書類は完成したのか?」


「あっ!まだっす」


「人に指図する前に
仕事しろ」


主任も負けてはいない。


「七瀬 仕事終わったら
すぐに出発できる様に
準備しておけよ」



そう・・・今から
あたしたち主任の家に報告に行くのです。


反対されたらどうしよう
そればかり頭によぎって
そのおかげで昨夜は
あまり睡眠が取れていない。