その時 偶然 遠くに主任が歩いていた
「あっ!藤堂主任
お昼からの打ち合わせのことだけど」
と 呼び止めてしまった。
一歩一歩近づいてくる主任
「おう!」主任が水口さんに見せる
その笑顔満載にグッとくるあたし。
美男美女 お似合いの夫婦
まだ諦めきれてないあたしは
その瞬間 力が抜けて
その場に座り込んでしまった。
「おい!どうした!
ほら!立てるか?」
と 手を差し出す主任。
「大丈夫なんで」
「大丈夫じゃないだろ
最近おかしくないか?
ボーッとしてるぞ?
体調が良くないんじゃないのか?」
「そんなことないです
あっ!夏バテですかね?
それか昨夜飲み過ぎか」
「また飲み過ぎか?
いい加減にしろよ!」
水口さんの目の前でガミガミと
怒られる。
「・・・すみません
気をつけます」
謝ってるのに
小言が続く。
「だから数字間違ったりするんだよ
身体・・・」
まだまだ続きそうな小言を
「やめましょ やめてあげて」
と水口さんに止められ
黙った主任。
水口さんに助けられてしまった。
「円香大丈夫
どーしたの?えっ?どーしたんです?」
座り込んでるあたしに
近づいてきたのは華子。
「力が抜けちゃっただけよ」
「もー!だからっ!
病院に行けって言ってるでしょーが」
「どこか悪いのか?」
主任があたしの顔を覗き込む。
「どこも悪くないです」
「そんなわけないでしょ
言えば?」
「華子!!!やめよ
なんでもないです」
華子とその場を離れた。
「ダメだよ言っては!
確実じゃないんだし
向こうは確実なんだから」
水口さんのお腹の中には
主任の子供がいると説明をしたら
「おいおい!最低なやつ
あっちこっちに種を撒いちゃってさ」
と 怒り始めた。
「だから!あたしは気のせいだってば」
「わかんないじゃん」
「わかるの!」
少し華子と言い合いになったのだった。



