「波瑠この上だよ」
お父さんと別れたあと、私たちは建物の2階に上がって、そこからさらに螺旋階段の上にある部屋を目指していた。
その途中でふいにあることに気づく。
「あー!」
思わず大きな声を出してしまったけど、ここが響く空間だってこと忘れてた。
「な、なに?」
「……私、お父さんに自己紹介するの忘れてました」
ふたりの会話をニヤニヤ見てる場合じゃなかった。初めましてなんだし、ちゃんと「藍沢波瑠です」って言わなきゃいけなかったよね。
……失敗したなぁ。
「ふ、はは。そんなこと気にしなくていいのに」
「普通に気にしますよ」
だって少しはよく見られたいじゃん。先輩のお父さんだから余計に。
「次会ったらすればいいよ」
「え?」
先輩が意味深に笑って階段を登っていく。
次会ったらって……次があるの?
私バカだし、こういうの慣れてないからすぐ期待とかしちゃうよ。それでもっと先輩のこと……。



