「へぇ……」
そんな姿を見て夏井がおかしな声を出した。
「なに?」
「いや、そんな顔もできるんだなって感心しての」
……なにそれ。勝手に感心されても迷惑だし、許可してないのに隣を歩くし、もう嫌だ。なにもかもが嫌。
バス停まであと少し。
バスに乗ったらすぐイヤホンを付けて、降りる場所に着くまで無心でいよう。色々と疲れ……。
「よし、行くぞ!」
その時、突然夏井が私の手を引っ張った。
「ちょ、なな、なに?」
「アイス奢ってやる」
ニカッと笑う夏井を見て予感がした。
こんな寒い日にアイスなんて、ただの思いつき?いや、きっと私がアイスを好きだって知ってるんじゃないかって。
そして、夏井はなにか私に隠してることがあるんじゃないかって。
本当は私の一番深い部分を知っていて、本当はずっとずっと色んなことを理解していて。
だから遠回しな言い方をして、私のなにかを引き出そうとしてるんじゃないかって。
そんな、なんの根拠もない予感がした。



