もしも、なんて言い出したらキリがないけど。
もしも、あの席に亜紀が座ってたらと思うと嬉しさより切なさが込み上げた。
次々と席が決まっていく中、喋るだけで騒がしいアイツの順番がきた。
「夏井は窓際の後ろだけは引くなよ。お前はうるさいから一番前な」と友達にからかわれながら、夏井の手は箱の中へ。
紙を広げて番号を確認する夏井。
亜紀の席は引けなかったし、他人の席順に興味はないから私は早く終わらないかなぁ……なんて、ぼーっとしていると夏井がでかい声で叫んだ。
「19番。また同じ席」
ガタッと動揺したのは私。
同じ席って……また亜紀の席?
なんで夏井なんかに……って、今は考えなきゃいけないことがもうひとつある。夏井の席が変わらないってことは、その隣の席は私だ。
引き直しは絶対しないって言ってたし2学期の間、ずっと夏井の隣なんて耐えられないんだけど……。
みんなの席が決まって椅子と机の移動がはじまった。
……どうしよう。動きたくない。
「藍沢さん?ここ俺の席なんだけど」
「あぁ、ご……ごめん」
追い出されるように渋々席を移動させた。
「藍沢、これからよろしく」
夏井が私を見てニカッと笑った。
――『押し潰されんなよ』
あれから私は夏井のことを避けている。
元々関わる気はなかったけど、避けているというより近づかないようにしていた。
なんとなく、これは直感だけど。
夏井には近づいちゃいけない気がしていた。
それなのに……。



