ミーンミーン、ミーン
蝉の鳴き声と、暑さでパチリと目が覚めた。
おばあちゃん家の私と宗太郎が使わせてもらっている部屋の天井。
蚊帳が四方に取り付けられて蚊帳の中にいる。
夏休みは7時に起きて、朝ごはんをおばあちゃんと作って三人でご飯を食べて、庭の草木に水をやって、手入れをして、
豪太君のとこの田んぼの手伝いをしたり、
近所の同い年の美代ちゃんも遊んだりするのが私の夏休みだった。
今は、何時だろう、
宗太郎は、
そうだ、
「宗太郎!?」
宗太郎の布団が乱れている後が私の布団の隣にあった。
昨晩、宗太郎と喧嘩して、宗太郎家出しちゃったんだ、
「どしたのお姉ちゃん」
私の声が聞こえたのか、開いた縁側の外から宗太郎はひょいと顔を出した。
外にいたみたい。
「う、ううん、ん?なにそのこ」
宗太郎と一緒に、顔を覗かせたのは、
真っ白な、ウサギ?
「次郎坊だよ!覚えてないの?お姉ちゃん」
「え?」
昨日?
次郎坊と呼ばれたウサギは、宗太郎に抱き上げられて、お腹をこちらに向けながら目をくりくりと愛くるしい表情をしている。
昨日といえば、
いやいや、あれは、きっと夢だったんだ。
「うさちゃん山から来たの?」
「うん!山から一緒に来たの!」
宗太郎のウルウルパンチをくらってしまった。
「そっか、可愛いねうさちゃん、でも家族がいるかもしれないから、山にかえさなきゃね」
「うん!お姉ちゃん一緒にいこう!」