月明かりに照らされた立派な赤山の麓から、123段の階段を登ったところに赤山神社はある。
夏休みの間はお盆祭りの時や、虫捕りのときに来たりもしたけど、こんな夜に来るのは初めてだった。
階段は割って真ん中に提灯が点々と並んでいる。けれど今はその提灯の灯りもない。
月明かりだけを頼りに、暗い石の階段に、よしっと気持ちを落ち着けて、一歩ずつ登っていった。
宗太郎が123段もそもそも階段、登れるだろうか、
ここじゃなかったら、他にどこを探せばいいんだろう。
「きゃっ」
ぐっと踏み込んだ足が、ガクッとよろけた。
気持ちが早まって階段を一段踏み外してしまった。
両膝と手のひらが地面について、少し痛みが走る。
こんなところで転けてられない、
そう思った時、
フワリ
提灯が上の方から一つずつ、
「なに…?」
ポンポンポンと順序良く灯りが灯っていった。
私のへたりつく場所も過ぎて、一番下の提灯まで灯りが灯ると、
「おねーちゃーん!」
はっきり、上から宗太郎の声が聞こえた。