と、いうわけで。
「さ、宗太郎、太郎坊にお願いできるよね?」
レジャーシートも片付けて、宗太郎の肩を持ちながら、仁王立ちの太郎坊を見上げた。
「太郎坊、お面、ぼくに貸してください」
うるキュン100%の宗太郎に敵う大人がいるだろうか?
可愛い、ああ宗太郎可愛いよ。
ぐっと押し黙る太郎坊。
「……はぁ」
しぶしぶ、太郎坊は、自分の鴉のお面に手をかけた。
そして、ゆっくり露わになる太郎坊の姿。
「宗太郎、怪我しないようにな」
ほら、と宗太郎にお面を渡す太郎坊は、
「太郎坊イケメンだねえ」
「当たり前だ、人間より秀でた修行をこなして人間の姿になるんだからな」
キラキラと宗太郎は太郎坊に熱い視線を向けている。
優しい声は一転。
私の方も見ずに太郎坊は悪態をついた。
「ジロジロ見るな」
「み、みてない」
少し、驚いただけ、一体どんな人が出てくるのかと思ったら、
漆黒の髪は長く、目にかかっているけど、切れ長の目がその間から覗いていて、すっと通った鼻は綺麗で、綺麗な肌は、見惚れるほどだった。
綺麗な黒目。


