赤山の緑が海のように広がっている。
町があんなに遠い。
田んぼがさらさらと風に揺れていて、
何もかもが、美しかった。
「宗太郎、一人で飛んでみるか?」
「うん、やってみる!」
「そ、宗太郎気をつけてね」
「大丈夫だよお姉ちゃん!みてて!」
太郎坊に言われ、宗太郎は太郎坊から、バッと飛び降りた。
ふわり、宗太郎の体が宙に浮く。
「すごい!飛んでる僕!」
「おお上出来じゃ宗太郎」
玄徳様も褒めるくらい、宗太郎は堂々と空へ身を委ねていた。
気持ち良さそう、
「春子の番だな」
ではあるけれど、
「ご、ご勘弁を……」
しがみつくので精一杯です…。
「ほら」
「ひい!」
景色から、太郎坊を見たその時、
太郎坊は、パッと私から手を離してしまった。
慌ててしがみつく手に力を込めて、
太郎坊の首に手を回す。
「本当に勘弁して下さい」
「腑抜けた姉じゃ、示しがつかんぞ」
「今はもうこれで、頑張ってる方…!!」