「お!きたきた弟子姉弟」
山の奥の祠まで行くと、まるで待ちわびていたかのように、玄徳様が手を振って待っていた。
後ろには太郎坊の姿も。
今日は、少し浮いてらっしゃるくらいで、高下駄を履いてるから見上げるけれど、昨日のような宙に浮いている感はない。
ただ少し浮いてる。
いろんな意味で。
「こんにちは玄徳様!」
宗太郎は玄徳様に向かって、大きく手を上げて挨拶をした。
玄徳様もそんな宗太郎にうれしそうに挨拶を返す。
そんな中、鴉の面を被った太郎坊が、私に視線を向けて口を開いた。
「次郎坊の姿がみえんが」
「ああ、逃げちゃったんです。おばあちゃんとお風呂に入れようとしてたんですけどね」
「拷問か」
「これでも可愛いがってるんです」