天狗見習い空を飛ぶ




チクチク、と手のひらの傷が疼いて


ゆっくりと瞳を開けた。

まだ朦朧とする意識、


嫌な予感だろうか、考え過ぎだろうか、


なんでこんな時間に目が覚めたのかわからず、



まだ暗い部屋を見渡す。


特に何も変わったことはない。


しいていうなら


「次郎坊いないし」


逃げたな。次郎坊。

もうっ、と怒って、宗太郎のはだけた布団を直したその時、



「起きたか春子、迎えに来たぞ」




ヒューっと部屋に生温い風が吹き込んできて、縁側に、誰かが座っているのがわかった。



ぞくっと寒気が背中を走る。



嘘でしょ、本当に、狐が迎えに来たっていうの?