それは困る!
「夜の神社は危ないんだ、ご愁傷様と言うべきか、お祝い申し上げますと言うべきか」
「ご愁傷様だよ!なんとかならないんですか!」
しれっと冷たくあしらう太郎坊に驚きもする。
「狐は約束相手のいる者を無理に攫ったりはしないそうだ。私と接吻でもするか」
「なっ」
キャッと宗太郎が目を小さな手で覆った。
キャッじゃないよ。しないしない。
げんなりとした表情を浮かべると、気に障ったのか太郎坊は私の頰をギュムっと掴んだ。
「こちらこそ願い下げだそんな顔をするな」
「しゅみましぇん」
痛いです太郎坊さん
「これはこの傷をつけた狐を捕まえるしか消す方法はない、そのうさぎでも護衛に連れていけばなんとかなるだろう」
「次郎坊!」
宗太郎の嬉しそうな声と一緒に、太郎坊の見た方向を見ると、びくりと体を震わせるうさぎの次郎坊の姿があった。
山に帰ったと思ったら、そんなとこにいたのね。