「春子殿、この手のひらの傷は今日の怪我ではないよう、それに、ただの傷ではない」 太郎坊は私の手首を掴み、落ち着いた声で私の顔を覗き込んだ。 「え、あ、これは昨日階段で躓いて、その時の傷です」 ただの傷じゃないって 「鳥居の外には悪い気も多いゆけ、祓わなければ大変なことになる」 「良くないことって、天狗に会ったり、?」 「なっ!春子わし泣く!」 「これは、狐の引っ掻き傷。所有物の証で、眠っている間に攫いにくる」 「ええ!」