声は一体どこから聞こえたのか、 キョロキョロと辺りを見渡すけれど、誰の姿もない、 「玄徳様ですか…?」 宗太郎に続いて、その名を口にしてみる、 「如何にも」 頭の上から、その声は聞こえた。 「!!」 声もでなかった。 まるでそこに地があるように、大きな体の天狗が、私達の真上に平然と浮いていた。 高下駄を履いて、着物をまとって、背にはカラスの羽が生えていた。 鼻の長い面は天狗そのもので、 ゆっくりと私達のほうへ、玄徳様は視線を向けた。 「お酒と大福ありがとう、後で美味しくいただきます」