なんとか宗太郎を追いかけて、階段を登りきると次郎坊の姿はもうなかった。
お山に帰っちゃったみたい。
木々に覆われた神社の境内は、日陰が出来ていて下よりも涼しかった。
誰もいなくて、静かな空気が漂っている。
鳥居をくぐると、うしろから、
「春子殿、宗太郎殿」
突然声が聞こえたので、びくり私は肩を震わせた。
「ひゃあっ」
「あ!次郎坊!」
条件反射で振り返ると、昨日の記憶に残る、彼の姿がそこにあった。
修験者の格好をして、うさぎのお面をした青年。
お昼に見たからか、緩やかな雰囲気を醸し出していた。
ここの神社の人だったのか。
それよりも、次郎坊って、
ああ、宗太郎、この人と昨日会ったから、あのうさぎに次郎坊って名前つけたんだ。
また変わった名前付けたなって思ってたんだ。
「ここからは私が玄徳様の所へご案内させていただきますね」
お面のしたからそう言って、次郎坊はさあさあと私達を神社の奥へと招き入れた。


