「おや宗太郎、昨日玄徳様におうたん?」
「うん!山に入って、迷ってたら、玄徳様が神社の所まで連れて行ってくれたの」
「ほお、そりゃよかったねえ、玄徳様は赤山の大天狗で、この町を守ってくれとるんよ、おばあちゃんも若い頃に一度会った事があるけれど」
助けてくれたんねえ
と、懐かしむおばあちゃんと、嬉しそうに話す宗太郎。
そーんな話し、私今の今まで聞いた事がなかった。
毎年ここにきてるのに、玄徳様なんて会った事もなければそんな噂も初耳だ。
「そんな話しあるんだここ」
「ちょっとした言い伝えみたいなもんなんやけどね、」
そうね、話したことなかったねえ
と、おばあちゃんは、なんてない言い伝えよ、と笑って次郎坊を抱き上げた。


