突然大声を出した私に周囲の人の視線が集まるけれど、そんなの気にしない。


先輩は驚いたように振り返った。



元気でね、だとか。

気を付けてね、だとか。

浮気しないでね、だとか。



言いたいことは、たくさんあるけれど。


何より伝えたいことは、たったひとつ。




「大好き…っ!」




とびきりの笑顔でそう言えば、先輩はやわらかく微笑んだ。



さよならのキスの代わりに、

お別れの言葉の代わりに、


先輩が私に伝えたこと

私が先輩に伝えたこと。



再び出会う、そのときまでずっと、忘れないように抱きしめて。





              fin.