見知らぬ森の中をさまよいながら、何故かそこに恐れはなかった。 獣の荒い息遣いもなければ、小鳥の寝息も秘そむことなく、足元にかさつく枯れ葉の中にうごめく蟲たちの微かな気配すらありはしないのだ。 そこに何もなければ、脅える必要などないと確信していた。