「お、落としちゃった……」


すばやく壺に手を伸ばす。
壺を裏返しぶつかったところを見てみる。
と、そこにはなんと、
大きなヒビがはいっていた。


「どうしよう、ヒビが……!
『封印が解けちゃう』!!」


私がそう言った途端、壺から煙が溢れてきた。
その煙はだんだん濃くなり、金の毛並みの狼の姿へと変わった。


「あなた……雷獣……!」


まだ、封印が完全に溶けていないせいか、先ほどの姿よりも、幾分、小さい。
普通の狼と同じくらいのサイズだ。